持続可能な地域医療・看護を創る- 講演・ワークショップ(2013.9.12京都からすまホテルにて)
-創造的問題解決技法を学んで使う-
0. 受講者の感想
1. 持続可能な解決には創造的問題解決が必要である
医療事故が多発する場合、私たちは、その事故のみに注目して、解決しようとする。
新人が短期間で辞めるケースが続く場合もその事のみを解決使用とする。
しかし、表面に現れた問題の解決のみでは、少し時間が経つとまた問題が再現する。長期的な(持続可能な)
解決のためには、職場を構成する多数の関係者で、「真の問題」を探り、それを解決するための
方法を考え、実行することが必須となる。創造的問題解決が要求されるのである。
2. 創造的問題解決とは何か
人口が数十万人の旭川市にある「旭山動物園」はかつて、入場者が激減して、閉園の
危機に立たされた。その動物園がある時、周辺人口が1000万人を越える「上野動物園」
の入場者数を上回って、今日も全国から入園者が押し掛け盛況である。「入場者激減」と
いう難問題を解決したのである。何が起きたのであろう。
私たちは通常、「入場者激減」のような状況に遭遇すると、それが解くべき「真の問題」
と判断して、すぐさまその問題を解こうとする。すると、月並みな解決法しか出てこない。
その結果、時間経過とともに事態はさらに悪い方向へ進み、ついには、破滅に陥る。
旭山動物園の当時の園長さんは、解くべき真の問題を「動物園とは何か?」「入園者と動物
はどうすれば生き生きするか?」「リピーターを増やすには何が必要か?」、「スタッフの可能性
を伸ばすにはどうすればいいか?」、・・・・のように設定し直した。その結果「飼育係り」は
「展示係」となり、入園者と動物が生き生きと交流できる展示装置および展示方法の開発へと
つながり、今日の盛況に至っているのである。
50年以上も前、久山町では脳卒中が多発した。これを減少させるために九州大学医学部は、
解剖によって病因・死因を特定し、地域の病院、保健所、町の健康課、中村大学栄養学科、
地域住民等と協力して予防医学を実施して住民生活習慣を変え、脳卒中を激減させた。
そして持続可能な地域医療・看護を現在も継続中である。最近、糖尿病の人は認知症になる
危険性が、健康に人よりもはるかに高いという事実をデータで示して、注目を集めている。
3. 医療・看護の職場における持続的な問題解決
人の命を預かる医療・看護の職場には、さまざまな問題が横たわっている。そのような問題の
持続的な解決には、関係する多職種の人が解決アイデアを出すことによって、問題を私(あるいは
私たち)のものとして捉え直し、責任をもって解決策を実行する勇気が必要である。すなわち、
創造的問題解決が要求されるのである。
4. 持続可能な医療・看護を創る---講演原稿---